書に深い情熱を持つ、20-30代の若き書人による展覧会「若き書人たちの 小さな展覧会」が2012年9月4日から9日まで、日本美術のメッカ、銀座で開催されました。

figure_1_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真1, 事務局 作村聖一さん。(右)

この展覧会は、新しい時代の 王羲之 や空海を輩出したい、若い世代を育てたい、という想いを持つ、株式会社リンクスの担当者により7年前に企画され、開催されるようになりました。以後、毎年20-30代の書人に貴重な発表の場を提供し続けてきた素晴らしい展覧会です。

「小さな展覧会」事務局の作村聖一さんにお話を伺うと、「この展覧会は、若い書人に活躍の場を与えたい、育てる仕掛けをしたいという想いで始めました。各新聞社公募展でもグランプリを受賞する作家が生まれる一方、前回展では東日本大震災被災地支援チャリティーにとり組むなど多様な取り組みが広がっています。他の芸術ジャンルの若い作家と競って作品を発表したり、売買したり、ロゴや題字のような商業文字の注文を受ける、といった活躍の場を提供し、若い世代を育てたいと思っています。」とのことでした。

今回展でも、大東文化大学、東京学芸大学、二松学舎大学などで書を専攻した書人たちによる約60点の意欲的作品が発表され、若さと個性で大勢の来場者を魅了しました。

figure_2_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真2. 小さな展覧会出品メンバーたち。

連立個展コーナーが設けられ、平蔵(へいぞう)(漢字)、松尾碩甫(まつお せきほ)(篆刻、書画)、北山直高(きたやま なおたか)(漢字、漢字かな交じり書)の三氏が、それぞれの個性を発揮。見応えのあるものとなりました。

figure_3_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真3. 平蔵 「月夜」「刹那」

作品と表装の境をとりさった作品。布の上に直接文字が書いてあります。

figure_4_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真4. 松尾碩甫 篆刻「大吉羊」
figure_5_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真5. 扇面作品

17の印と4つの扇面で存在感のあるコーナーに。

figure_6_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
→写真6. 北山直高「流蛍撲風」「書と音の響きあい」

柔らかく穂の長い筆と濃墨を使って魅力ある線を表現。

個展コーナー以外の作品も実に個性的でインパクトある作品が並びました。その全てを紹介することはできませんが、一部ご紹介したいと思います。

figure_7_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真7. 大峠 仁「ふ」

福島でのデザインの仕事を通して興味を持った「ふ」の字。点4つの集まりである「ふ」を如何に書くか、というところが面白く、また難しくもあるところ。

figure_8_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真8. 小山明菜「エマソンのことば」

どんな芸術家でも最初は素人だった。自分の書道の勉強をもっと頑張りたいという書家本人の気持ちを反映した作品とのこと。

figure_9_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_erafigure_10_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era

写真 9-10.中島零珠「今日の風」

詩の内容から爽やかさをイメージして書いた作品。柔らかめの筆を使用。

figure_11_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真11. 阿部静「木」

美大卒。自然から得られる質的なものに惹かれて創った作品。額も書家本人の手作り。

figure_12_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真12. 大畑康

「鳳の風紋」 インテリア書を中心とした作品を制作している書家による作品。

figure_13_producing_wang_xizhi_and_kukai_of_a_new_era
写真13. 國枝貴之「わたしはわたし」

目の前にするめを置いて観察しながら描いた作品。色使いが好評でした。

いかがでしたでしょうか?
次は、この展覧会の出品者の中の2人の篆刻家のインタビューを特集したいと思います。乞うご期待!